珠温みほ– Author –
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打ち水
曇ったままで
引き出しの奥に使わなくなった鍵が一本 取り出すと金色が、少し曇っている手のひらに、いちど乗せてみる かつて、いつでも開けていい部屋があった今は、年賀状だけその文字が、年々、少しずつ丁寧になっていく 気づけば、部屋の光が、翳っていた 鍵を、ま... -
自顕の匣
【滴】
あなたが大切にしている、小さくて静かなものは何ですか -
打ち水
落雷の痕
まっすぐな木だけの森は、ない。 ねじれて伸びた幹がある。落雷の痕を抱えたまま、そこから枝を出した木がある。森は、それを直そうとしない。 言いたいことを飲み、飲んだことに、また棘を感じて。昨日は優しくできて、今日はできなかった。 割り切れない... -
打ち水
見上げた天井
会議室の椅子はいつも同じ硬さで並んでいる。 「大丈夫です」と微笑み声の高さは昨日と同じだった 天井を、一度だけ見上げた 水の雫が何百年もかけて石になっていく鍾乳洞 一滴の重さは、誰にも量れない洞窟の奥は、いつも同じ暗さのままだ 誰にも見せない... -
自顕の匣
【直】
あなたが、素直でいられるのはどんなときですか -
自顕の匣
【佇】
静かにそこにあり続けているもので、あなたが好きなものは何ですか -
自顕の匣
【翔】
今、自由に飛べるとしたら、どこまで行ってみたいですか? -
打ち水
魂の宿
火葬のあと、灰は拾わない骨を、拾う二人で、箸を添えてまだ熱いそれを、そっと ほかは、ぜんぶ還っていくのに骨だけは、手渡していく昔の人は、知っていたのだと思うその人の一番奥に何が住んでいたのかを 神様は、一柱、二柱と数える家の真ん中には、大... -
打ち水
渡せない一室
電話を切ったあとの部屋が、急にしんとする。あの静けさを、寂しさと呼ぶ日もあれば、ほっとする日も、ある。 分かってほしい、と思う。全部は無理でも、せめて芯のところは。けれど、どれだけ言葉を尽くした夜も、最後のひとつは、渡せずに残った。 人は... -
自顕の匣
【弾】
あなたが今、誰かに届けたい音や言葉は何ですか?
