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自顕の匣
【素】
飾らないままの自分を、そのまま見せられる場所はどこですか -
打ち水
祭りのはずれ
夜店の灯りは、まぶしい。けれどあの灯りの下で、ご飯を食べる人はいない。 画面の中は、いつも誰かの祭りだ。指でなぞれば、花火、乾杯、知らない海辺。スクロールする親指だけが、祭りのはずれで、冷えていく。 スマホを伏せれば、台所。火にかけた鍋が... -
打ち水
書けなかった欄
履歴書には、書ける欄が決まっている名前、学歴、資格、職歴書けなかったことの方がその人の大半なのに 竹は、はじめの数年、地上に出ない土の中で、ただ根を張っている外から見れば、何もしていない年月それを空白と呼ぶ人はいない 誰かの話を最後まで聞... -
打ち水
灯台
灯台は、海を照らしていない届くのは、せいぜい足元の岩まで沖の暗さは、暗いまま残る それでも灯台は、そこにいる海を明るくするはたらきではなくここに岩がある、とだけ告げるはたらき どうにもならないものの前で人にできることは、案外それに似ている... -
産巣琵の真理
運び
蓮は、朝のあいだしか開かない。その短いひらきの中へ、蜂が来る。 後ろ脚に、橙色の小さな団子。花々をめぐって集めた花粉。蜂はそれを食べない。これから巣で育つ命の糧になる。 蜂は、はこぼうとしていない。目の前の蜜を、集めているだけ。そのあいだ...
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