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自顕の匣
【滴】
あなたが大切にしている、小さくて静かなものは何ですか -
打ち水
落雷の痕
まっすぐな木だけの森は、ない。 ねじれて伸びた幹がある。落雷の痕を抱えたまま、そこから枝を出した木がある。森は、それを直そうとしない。 言いたいことを飲み、飲んだことに、また棘を感じて。昨日は優しくできて、今日はできなかった。 割り切れない... -
自顕の匣
【直】
あなたが、素直でいられるのはどんなときですか -
自顕の匣
【翔】
今、自由に飛べるとしたら、どこまで行ってみたいですか? -
打ち水
魂の宿
火葬のあと、灰は拾わない骨を、拾う二人で、箸を添えてまだ熱いそれを、そっと ほかは、ぜんぶ還っていくのに骨だけは、手渡していく昔の人は、知っていたのだと思うその人の一番奥に何が住んでいたのかを 神様は、一柱、二柱と数える家の真ん中には、大... -
打ち水
渡せない一室
電話を切ったあとの部屋が、急にしんとする。あの静けさを、寂しさと呼ぶ日もあれば、ほっとする日も、ある。 分かってほしい、と思う。全部は無理でも、せめて芯のところは。けれど、どれだけ言葉を尽くした夜も、最後のひとつは、渡せずに残った。 人は... -
自顕の匣
【素】
飾らないままの自分を、そのまま見せられる場所はどこですか -
打ち水
祭りのはずれ
夜店の灯りは、まぶしい。けれどあの灯りの下で、ご飯を食べる人はいない。 画面の中は、いつも誰かの祭りだ。指でなぞれば、花火、乾杯、知らない海辺。スクロールする親指だけが、祭りのはずれで、冷えていく。 スマホを伏せれば、台所。火にかけた鍋が... -
打ち水
書けなかった欄
履歴書には、書ける欄が決まっている名前、学歴、資格、職歴書けなかったことの方がその人の大半なのに 竹は、はじめの数年、地上に出ない土の中で、ただ根を張っている外から見れば、何もしていない年月それを空白と呼ぶ人はいない 誰かの話を最後まで聞... -
打ち水
灯台
灯台は、海を照らしていない届くのは、せいぜい足元の岩まで沖の暗さは、暗いまま残る それでも灯台は、そこにいる海を明るくするはたらきではなくここに岩がある、とだけ告げるはたらき どうにもならないものの前で人にできることは、案外それに似ている...
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