十五、虚空の如き自由の真実

自由とは、手に入れるものではない。

何かを多く持ち、どこか遠くへ逃れ、握った分だけ自由になれると、私たちは信じている。だが、持てば守るものが増え、逃げれば追われる影が増える。手のなかのものを数えるほどに、いつのまにか、それらに縛られていく。

だが、見よ。何ひとつ無い、虚空を。雲が湧いても、嵐が吹き荒れても、虚空はそれを通すだけで、傷つくことも、汚れることもない。奪われるものが、はじめから何もないからだ。

失うことを恐れる必要も、守るべき境界を引く必要もない。何かで満ちているから自由なのではなく、何もないからこそ、すべてが通り抜けていく。虚空の正体に静かに気づいたとき、抱え込む手はひらき、私たちはただ、何にも遮られぬひろがりとなって、ここに在る。