老いることへの怯え。病むことへの恐れ。鏡に映る姿に一喜一憂し、この肉体こそが己のすべてであるとしがみつく。その過剰な執着が、皮膜の奥の細胞までをガチガチに硬直させていく。
だが、見よ。命を育む繭の姿を。それは魂という本質が、この地上という季節を生き、不自由さを通して学ぶために、天地から一時的に与えられた厳かな器に過ぎない。時が満ちれば、未練なく脱ぎ捨てられ、大いなる循環へと還っていく幻の衣である。
不滅の魂にとって、肉体とは永遠に居座る場所ではない。朽ちていくことを嘆き、防壁を築いて立てこもる必要などどこにもない。いつか手放す有限の器だからこそ、いまこの瞬間の愛おしさが、細胞の隅々にまで満ちていく。繭の正体に静かに気づいたとき、肉体は防衛の盾であることをやめ、天地の息吹をそのままに通す、しなやかな命となる。
