十九、深淵の如き静寂の真実

日々の喧騒、人の放つ言葉のさざめき。それに心を乱されまいと、強くあろうと声を張り、何かを言い返さねばと身構えては、内側をいっそう騒がしくしていく。

だが、見よ。海の、深いところを。波がどれほど立ち騒いでも、嵐がどれほど吹きすさんでも、底のしずけさは、ひとつも揺らがない。そこは、何も無いのではない。光の届かぬ底に、すべての水をたたえ、すべての命を、抱いている。

強くあろうと、声を張る理(ことわり)などどこにもない。乱されまいと身構え、黙していられぬと焦る必要はない。満ちているものは、騒がない。静寂の正体に気づいたとき、張りつめた身はほどけ、私たちはただ、波の届かぬ深い底に在る。