六、水(みず)の如き思考の真実

過ぎ去った過去への後悔。未だ来ぬ未来への不安。頭の中で同じ過ちや恐れをグルグルと巡らせては、自ら縛った思考の檻の中で、心身を冷たく凍りつかせていく。

だが、見よ。岩肌を穿ち、淀みなく巡る水(みず)の姿を。水は過去に留まることなく、未来を憂うこともない。ただ「いま」ここの形に従って自在に姿を変え、サラサラと前へ進み続ける。私たちが「囚われ」と呼ぶ思考の強張りを解く鍵もまた、この一瞬のなかにしか存在しない。

常に流転する命の営みにおいて、思考を固定する理など、どこにもない。記憶の影に怯え、まだ見ぬ幻影を制御しようと焦る必要はない。この思考の正体に静かに気づいたとき、凍りついた脳裏は融解し、囚われていた思考は、ただ「いま」この瞬間を清らかに、しなやかに流れ出す。